kotonohaananshuのブログ

中世日本文化をこよなく愛するブログ。偉人の名言名句や古典名著、茶道・能狂言・武士道・俳諧・日本庭園・禅(仏教)などについて書いていきます。来るもの拒まず、去る者追わず。

名言名句 第七十七回 岡倉天心 「茶道は、生きる術を授ける宗教なのである」。

茶道は、生きる術を授ける宗教なのである。 岡倉天心『茶の本』 今回の名言は、そもそも「茶道とはいったい何か」を解き明かそうとするものです。 明治期の世界的名著である『茶の本』で、岡倉天心は「生きる術(すべ)を授ける宗教」である、と看破しました…

【日本文化のキーワード】第十回 鬼

「鬼」とはいったい何者か。日本文化を読み解くキーワード、今回は「鬼」にスポットライトをあてて、日本人の心の中に深く分け入ってみましょう。 [第一章] 鬼とは何か ■鬼の誕生 日本文化における鬼のイメージは、多種多様、かつ複雑です。 鬼は、恐ろし…

名言名句 第七十六回 二宮尊徳 「樹木を植うるや、三十年を経ざれば即ち材を成さず」

樹木を植うるや、三十年を経ざれば即ち材を成さず。 二宮尊徳『二宮先生語録』 今回の名言は、今日のSDGsにもつながる「木を植える」というテーマです。 尊徳晩年の弟子、斎藤高行が師の没後、その教えを筆録・編纂した『二宮先生語録』から、以下、原文(漢…

名言名句 第七十五回 千利休 「渡りを六分、景気を四分に据え申し候。」

渡りを六分、景気を四分に据え申し候。 千利休~『石州三百ヵ条』 今回は、庭造り、露地の飛び石についての利休の名言です。 茶庭である露地の飛び石は、茶室へと至る庭の通路として設置され、千利休の安土桃山時代頃に成立した、比較的新しいものです。 そ…

三鷹市民講座「千利休が残した茶の湯の歴史」開講中

よみうりカルチャーの出張講座が、三鷹市生涯学習センターにて 連続3回で実施されています。 テーマは「千利休が残した茶の湯の歴史~茶道の歴史と意義をやさしく学ぶ」。 千利休が残した茶の湯の歴史~茶道の歴史と意義をやさしく学ぶ | 三鷹中央防災公園・…

【名言名句 空海】物に定まれる性なし。人、何ぞ常に悪ならん。

今回の名言は、空海晩年の著、『秘蔵宝鑰』(ひぞうほうやく)から、この句をご紹介しましょう。 物に定まれる性なし。人、何ぞ常に悪ならん。 (物には定められた性質はない。どうして人はいつまでも悪人であり続けることがあろうか。) 悪とは何か―。 人の善…

うらを見せ おもてを見せて ちるもみじ。(良寛)

うらを見せ おもてを見せて ちるもみじ。 良寛~『蓮の露』貞心尼良寛の最期をみとった愛弟子、貞心尼の良寛歌集、『はちすの露』に収められた良寛の辞世の句です。良寛の最晩年の法弟が、三十歳の美しい尼、貞心尼。二人の出会いから、良寛遷化までの四年余…

逆もまた真なり。【逆説名言辞典】

【言の葉庵】ホームページは名言名句をご紹介するサイトです。 千年の日本語を読む【言の葉庵】能文社 (nobunsha.jp) 中世日本を中心に、世界中からこれまで多くの偉人の格言をご案内してきました。 今振り返ってふと気づいたのが、本来の意味と真逆の言い回…

【言の葉庵】千利休講座、4/5読売新聞に掲載されました。

4/16(土)11:00~ よみうりカルチャー 大手町スクール 「生誕500年 千利休が残した茶の湯の歴史」 講師:水野聡(古典翻訳家) https://www.ync.ne.jp/otemachi/kouza/202204-18011010.htm 千利休の生涯と、利休が大成した茶道の歴史をたどる初心者向け茶道史講…

名言名句第七十二回 君看よ双眼の色、語らざるは愁い無きに似たり。

君看よ双眼の色、語らざるは愁い無きに似たり。 ~出典不詳。『槐安国語』に白隠の句あり 江戸中期の禅の高僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)の名句です。 臨済宗大徳寺派の祖、大燈国師の語録に、白隠が評語と下語を付した、『槐安国語』に収められています。…

本日放送、NHK Eテレ〈美の壺〉鬼

本日、1/30(日)23:00~ NHK Eテレにて〈美の壺〉~鬼が 放送されます。 世阿弥の鬼の芸について、【言の葉庵】(水野聡)が取材協力 いたしました。 同放送は2016年の番組の再放送です。 ◆【言の葉庵】関連リンク 千年の日本語を読む【言の葉庵】能文社: 10/14…

名言名句 第七十一回 孟子 道は近きにあり、しかるにこれを遠きに求む。

道は近きにあり、しかるにこれを遠きに求む。 ~『孟子』離婁上 十一 中国戦国時代の儒家、孟軻(孟子)の名言です。 出典は四書の一、『孟子』の離婁上 十一より。 以下、原文、読み下し文、解釈をご紹介しましょう。 【原文】 道在爾而求諸遠 事在易而求諸…

佐渡と世阿弥伝説

今日の能を大成し、『風姿花伝』、『花鏡』などの能楽理論書を多数著述した世阿弥。 日本の文化史、芸能史において並びなき偉人とされますが、晩年幕府より罪を受けたため、その人生の最終局面は歴史に記されず、六百年後の今も謎に包まれています。 なぜ佐…

横浜よみうりカルチャー6月新講座「茶の湯の始まり」他全3教室

6月より、横浜にて新しい【言の葉庵】カルチャー講座が始まります。 いずれも初心者対象の日本文化入門コースです。 ご興味がありましたら、ぜひ、ご参加お待ちしています。 NEW!〈横浜市・よみうりカルチャー横浜校〉 1.一日講座:茶の湯のはじまり~茶…

名言名句 第七十回 鳥鳴きて山更に幽なり。

鳥鳴きて山更に幽なり。 ~王籍『入若耶渓』 茶席の禅語として古くから親しまれる漢詩の一文です。 この一句のみ書かれることが多いのですが、もとの形は、漢詩の中の次の対句。 (原文) 蝉噪林逾静 鳥鳴山更幽 (読み) 蝉噪(さわ)ぎて林逾(いよいよ)…

名言名句第六十九回 大事の思案は軽くすべし。(直茂公壁書)

大事の思案は軽くすべし。~鍋島直茂『直茂公壁書二十一箇条』 今回は戦国時代、西国一、二の名将と称された鍋島直茂の名言をご紹介します。 大事の思案は軽くすべし。 原典は、佐賀藩に伝わる、直茂の訓戒を箇条書きにした『直茂公壁書二十一箇条』(元禄五…

寺子屋素読ノ会『南方録』講座、9月より再スタート。

2020年9月11日(金)より、寺子屋素読ノ会のC〔南方録〕講読クラスが始まります。 http://nobunsha.jp/img/terakoya%20annai.pdf 南方録クラスは、都合によりしばらく休止していましたが、今回複数名の受講者より再開のリクエストをいただきましたので、冒頭よ…

【空海の名言】身は花とともに落つれども、心は香とともに飛ぶ。

弘法大師空海の漢詩文集『性霊集』に収められた名言です。 人は亡くなれば、その身は朽ち果ててしまうけれど、その心はかぐわしき薫りとなって広大無辺の世界へと広がっていく。 まずは、『性霊集』の空海の名言を含む章を全文現代語訳にてご紹介しましょう…

【お知らせ】6月12日より寺子屋素読ノ会を再開します。

2020年6月12日より、3か月ぶりに寺子屋素読ノ会を再開することとなりました。 http://nobunsha.jp/img/terakoya%20annai.pdf 今回ご参加の皆様は、施設の感染対策にご対応の上ぜひご来館ください。 クラスB「能の名曲」13:30~は今回、能〔国栖〕。 壬申の乱…

『今昔物語』家で読む名作古典(現代語訳)シリーズ

【言の葉庵】家で読む名作古典シリーズ、今回は『今昔物語』より 本朝部 巻十九第十四「讃岐国多度郡五位聞法即出家語」をご紹介します。 人や獣の殺生をなんとも思わぬ極悪人の源大夫が、ふとしたきっかけから 仏教信仰と出会い、改心して感動の奇跡を起こ…

名言名句 第六十六回 二宮尊徳 艱難に素して艱難に行ふ。

艱難に素して艱難に行ふ。~二宮尊徳『報徳記』第六巻 二宮金次郎(尊徳)の伝記、『報徳記』にある尊徳の言葉です。 もとは中国の四書の一、『中庸』にあった句からの引用ですが、原典では以下の句形となっています。 君子その位に素して行い、その外を願わず…

【言の葉庵】家で読む名作古典(現代語訳)シリーズ公開。

徒然草、今昔物語、源平盛衰記などを現代語訳でお届けする、 【言の葉庵】家で読む名作古典(現代語訳)。 今回はこれまでの言の葉庵記事より、「読んで面白い」古典のエッセンスを 電子ブックに編集して、全9作品をまとめて公開します。 PCブラウザでも、ス…

AI 対 人間。古典は自動翻訳できるのか。

1000年前の日本語を、あたかも現代文のようにスラスラ読めたら…。 言の葉庵読者の皆様の中には、そのように感じている方もいらっしゃるかもしれません。 期待されている、AI翻訳。 異言語間の翻訳については、IOTの進化に伴い日進月歩です。 スマートフォン…

日本語ジャングル。“笑う村”言の葉庵 笑話ベストセレクション

日本昔話を代表とする、日本の民話。長者(お金持ち)ものや、仏教奇譚、愚か聟・愚か嫁、動物の恩返しなど、国々村々のあらゆる言い伝えや古伝承が語り継がれてきました。なかでもひときわ親しみやすいのが、「笑話」とよばれる、滑稽話の一群。落語や狂言の…

能文社『貞観政要』100分de名著に登場

NHK Eテレで放映中の100分de名著<貞観政要>。 当社の現代語訳『貞観政要 上』がスタジオに登場しました。 http://nobunsha.jp/book/post_131.html 当方の著書・訳書としては、『風姿花伝』に続いて、 NHK 100分de名著へ、2冊目の登場となります。 世界的…

世阿弥『花鏡』講座 自由が丘産経学園 1/22(水)

1/22(水)10:30~ 自由が丘産経学園にて ■世阿弥の秘伝書『花鏡』を読む ~お能鑑賞 はじめの第一歩~ https://bit.ly/2NxNwPE があります。 世阿弥の三大秘伝書が、 『風姿花伝』『花鏡』『申楽談儀』。 このうち本作『花鏡』は役者・作者として円熟期を迎え…

まぐまぐメルマガ発信コンテンツの紹介

まぐまぐ名言名句マガジン【言の葉庵】 メインページ https://bit.ly/2MVIcVX 現在、まぐまぐ【言の葉庵】メルマガでは、以下のレギュラーコンテンツを 毎月発信しています。 ■メインコンテンツ ・名言名句 現在、第六十五回 ・日本文化のキーワード 現在、…

【言の葉庵】謹賀新年 令和二年

あけましておめでとうございます。令和二度目の今年もみなさまにとって幸多いよき年となりますように。謹啓頓首 言の葉庵 庵主 おめでとちゅー

草庵小座敷は、心が無に帰する出世俗の法。『南方録』

カネワリの基本配置図 茶の湯の精神をあらわす、代表的な茶書『南方録』。利休が説く侘び茶の、真の心は、何物にもとらわれぬ格や矩を越えたものでした。それは無論、茶道が根幹とする禅の悟りから導かれたものですが、古く中国からもたらされた、陰陽五行思…

晩秋の修善寺

季節外れのつもりが、期せずしてベストシーズンに訪れたことになりました。和洋、新旧が美しく融合する温泉町のいくつかの顔。 橋のたもとよりのぞむ修善寺温泉のメインスポット。 隣町、大仁の水晶山山頂にある謎の柱状節理。 日枝神社樹齢1400年の夫婦杉。…